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大物よ高らかに歌え!

日刊サイゾー発で、mixiやらlivedoorやらexiteやらで、こんなニュースがでていた。
「これでは新人が育たない!」ベスト盤しか売れなくなった音楽業界の悲鳴
http://www.cyzo.com/2009/10/post_2935.html



ここ2、3年の間にいいなと思って買ったのは、邦楽なら凛として時雨、Perfume、湯川潮音、caravan、bonobosというアーティストのアルバム。

椎名林檎の「自分は絶対にベスト・アルバムをリリースしない」という発言は、だてに「ベンジー大好き」とか言わねーなぁと当時思った。アーティストはベストアルバムみたいなアルバムを作れ!


いわゆるコアな音楽ファンと称される人々は、各自のアンテナで新人アーティストをキャッチしている。その人達はおそらく、Mステをあまり積極的には見ない人々なのではなかろうか。その人達の好きなアーティストがMステに出たらむしろ「やめて!」と思ったり、そう思いながらも「おめでとう!」と思ったりする人々ではないのだろうか。

だけどポップスってのはMステに出るような人達のことで、売れる人ってのはMステにバンバン出る人。MステじゃなくてうたばんやHEY×3でもいい。

流行とは無関係にジミヘンを聞いたり、ビートルズやディランは必ずキープしていたり、あるいは何のこっちゃかわからないけれどとにかくビビビ!と来た音楽ばかり聴く人とかは、「いい!」と思ったら買う。はず。

一方で、浜田省吾なら絶対買うとか、YAZAWAなら絶対買うとか、そういう層もいる。

オリコンチャートに閑古鳥が鳴いているのは、日本人ミュージシャンが駄目になったわけではない。ヒットメーカーがいないだけなのだ。

つまり、次の3つが問題だと思われる。

1)大御所が怠けている。

2)レコード会社に、ヒットソングをキャッチする能力や、売り出すノウハウやら、勘のようなものをもった人がいなくなった。

3)傑出した歌手をもっと量産して、作詞家や作曲家をもっと鍛え上げることを怠っている。


ひと昔前は、山下達郎、ユーミン、サザンが上質なポップスをちょいちょいリリースし、米米やバンドブーム系のバンドが新しいグルーヴを作り上げ、ビーイング系が何気に何気なく人気を得て、一方ではアイドルがアイドル然とした曲をニコニコしながら踊りながら歌い、永ちゃんや浜省はコンサートホールを沸かしていた。インディーズでは渋谷系だのビジュアル系だのがそれぞれの方向性をもって着々と力を付けていた。

80年代後半から90年代前半は、それはそれは面白かった。


イギリスだってアメリカだって、大御所、中堅、新人、アイドル、テレビ番組などが、それぞれ頑張ってシーンを盛り上げている。

邦楽は今、大御所と中堅がなーんもしてないに等しい。中堅は解散したり再結成したりと落着きがない。大御所や中堅どころは表舞台に立たないばかりか、新人やアイドルへの曲提供もあまり積極的にはしていないのではなかろうか。少しはU2やマドンナを見習って欲しい。特にドラゴンアッシュなんかは物凄い可能性を秘めたまま、既に余生を過ごしているような印象すら受ける。

なぜ大物が怠けるのか。それはレコード会社がやる気出すようなことをしていないからである(きっと)。大物はもうたっぷりお金持っているから別になにもしなくたっていい。大物はもうみんなにきゃーきゃー言われ疲れている。初期衝動も自己実現も叶った大金持ちの大物は、心底「歌いたい」と思わない限りもう別に歌う必要なんてない。

しかしだからこそ大物に「歌いたい」と思わせるようなことをレコード会社はするべきだ。大物が出て来ないから、新人とアイドルとテレビやアニメなどの流行次第となってしまう。レコード会社は安易なタイアップとキャンペーンばかりするのはもうやめたほうがいい。もっと地味に謙虚になって、本質的に目線を下げて、大御所や中堅に本気になってもらわなければならないのだ(なんとなく、レコード会社社員の給料が良過ぎることも遠因のひとつのような気もする)。


YUIや絢香は素晴らしい歌手だけど、そこだけにぶら下がっていることはできない。聴く者は飽きるし、作り手は疲弊する。

大御所や中堅にちゃんとしろ!って言ってやれる人もいないのだろう。そして、アイドルに上質の曲提供できる裏方さんを、もしかするとないがしろにしているのではなかろうか。SMAPの曲を作っている人は凄いと思うのだが、レコード会社や事務所はなぜほかの歌手に同じようなことをしてやれないのか。安心して聞ける上質なポップスを作れる人はきっとどこかにたくさんいると思うのだ。

巨星墜ちてしまったこの年に、おなじくらいの巨星達は老け込んでふさぎ込んで自己満足している場合じゃないよと、焚き付けてやらねばならない。
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僕にとってのロック

一体これはどうしたことか。





曲のリズムが同じで、あっちとこっちをひっつけたら面白いかな〜ってレベルじゃない。数限りない楽曲の中から、いくつかベースとなる曲を中心に考える。どうやったら面白い曲ができるだろうかと。それはテクノポップでもきっと似たような感じなのではないだろうか。ピコピコ、ジャカジャカ、ドンタカドンタカ、数限りなくあるサウンドの中からなんとなくピタッとくるサウンドを選んで、それに音を重ねて行くうちに、やがて曲らしきものができていくのだろう。

ギターなら、覚えているフレーズをなんとなく気の向くままにならしたり、ああだこうだとフレットを指で押さえて鳴らしていくうちに、メロディーができていくのだろう。指で押さえられる数には限りはあるけれど、チューニングやエフェクターを使うことでいろいろな音色をつくりだすことができる。楽器の持つ限界という世界をこじ開けながら、他の楽器と混ざりあい混濁しながら得体の知れないグルーヴ感やノリをつくりだせる。

だけど、ギターやピアノ、バイオリンにしても、鳴らせる音には限界というものがあるように思える。楽器の見たまんま、物理的な限界があるように思える。

コンピューターは、ギターもピアノも取り込んで、万物の音をとりこんで、全くの自由の中から、ある一人の人間の心向くままの音楽をつくり出す。サウンドの限界は自分次第。自分で桶を作って、その中に好きなサウンドを詰め込んで、自由自在に変化させられる。




脳内でどこからともなく沸いてきた自分だけの音を、コンピューターならほぼイメージ通りに鳴らせる。世界のどこかで鳴ったサウンドを、自分という桶の中に入れて、パソコンで解放する。







ギター、ベース、ドラム、キーボードといった楽器をストレートに絡み合わせてボーカルが叫ぶのもロックだが、ある人間が脳内や心境をそっくりそのまま投影した世界観を世界中のサウンドを利用して解放するのもロックなのだと、かつて僕に気付かせてくれたのはドラゴンアッシュだった。確信したのはファットボーイスリムとローリンヒルだった。みんなにもそんなアーティストがいると思う。





多感な時期にYouTubeがあったなら、もっと自由にたくさんのロックに触れ、もっとロックを深く理解できたのかもしれない。友人の兄貴の買ったレコードをカセットテープにダビングしてもらったり、毎週末決まった時間にFMから流れるヒットチャートをカセットテープに録音したりする不自由さ。そうやって手に入れた音楽がいつもいつも素敵な出会いであったわけでもなく、空振りに終わることもあった。

今なら、BBCやビルボードのチャートを好きな時に調べて、アーティストをWikiペディアで調べたり、YouTubeで聴くことができる。気に入った曲だけを、なけなしのお小遣いで曲単位で買うこともできる。

なけなしのお小遣いで買ったCDを何度も何度も毎日毎日繰り返し聞いた。高校生のころ僕のお小遣いは5000円だった。僕が高校生のころ格安の輸入盤CDなんて、町のレコード屋には売っていなかった。大体全部3000円くらいした。ブックオフもなかった。

先週末、近所のでかい本屋&CDショップで、中古セールをやっていた。何気なく見ていたら名盤が信じられないほどの価格で数多く混じっていた。例えばスピッツの『ハチミツ』が780円。ジャニス・ジョプリンの『チープスリル』が780円、ローリンヒルの『ミスエドゥケイション』が480円だった。どれもこれも僕にとって思い入れの強いCDで、しかも、引越したり友人にあげたりしたりでどこかへいってしまったものだった。







酒と煙草の味を覚えた頃、バーボン、ラム、ジンをストレートで飲みながら毎日毎日聴いていたジャニスの『チープスリル』は、とても大切なCDだったが、時を経て、改めて聴いてもエモーショナルな何かとの出会いはさしてないだろうとたかをくくっていた。だが、想像以上のエモーショナルな津波が心の底から湧きあがってきた。帰り道の車の中で僕は当時の自分の空気感まで思い出しながら、ジャニスの身体が足りない感じで振り絞りながら歌っている曲を聴いた。

僕には僕の音楽を聴くスタンスというものが構築されているのだなあと感じた。それは当然時と共に変化して、MTVを見たり、YouTubeを見たりして、マッシュアップに感動したりもする。だけど、音楽と出会った頃のまっさらだった僕の音楽を聴くスタンスの、最初にあがったのったいくつかの思い出深いアルバムというのの存在感は想像以上に大きいものだった。




あなたにとっての大切な音楽はなんだろう。
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